美食記
l´Ane Rouge
Michel Devillers
(「ラン・ルージュ」 ミッシェル・ドゥヴィレー)
7, Quai des Deux-Emmanuel
06300 Nice
Tel 04 93 89 49 63 Fax 04 93 26 51 42
http://www.anerougenice.com
ニースのPORT(港)沿いにあります。
港は「コ」の字型になっているのですが、その真ん中に教会があり、
そこを背にして左側(プロムナード・デ・ゾングレと逆側)の並びにあります。
"l´Ane Rouge" Michel Devillers (「ラン・ルージュ」 ミッシェル・ドゥヴィレー)
2007年6月3日 ニース
私達の結婚記念日は5月20日なのだが、仕事だったり、雨だったりして、なかなかお祝いができずにいた。
今日も本来は多少雨が降ると天気予報で言っていたので、どうしようかぁ、、、と悩んでいたのだが、
朝起きたら快晴!やった!!!
昨年行って良かったホテルでの
ブランチ&プールコースにしようかと話し、予約の電話を入れると、
なんと満席だった。ガガーン。そういえば、今日フランスでは母の日。
素敵なお店はどこも混んでいるかもしれない。。。
ここ2年ほど結婚記念日をお祝いしているグラースのレストランに今年も行きなさいってことかなぁと思ったのだが、
祝日は品数の多いコースしかないし、WEBサイトでアラカルトのお料理を見たけれど、毎年同じ時期に行くせいか、
食べたことのあるものが多く、あまりそそられない。そうこうしているうちにお昼が近づいてきた。どうしよう。。。
そのとき、娘が「私は海に行きたい!」と言った。
それなら、海が近くにあるお店を探そう。午後からでも泳ぎに行けるから。
夫と私はインターネットで色々なお店をチェックしながら話し合った。
その結果、ニースの港にある「l Ane rouge(赤いロバ)」というレストランはどうかということになった。
外から見ると何となく古くさい感じのお店で、今まで一度も入ったことがなかったが、HPを見るとそうでもなさそうだし、
お料理も素敵そう。ミシュラン一つ星レストランだと言うのに値段もあまり高くない。試してみるのに良い機会かも。
栗が早速電話を入れた。幸い席は空いていたが、今日は68ユーロと85ユーロの母の日特別コースしかないと言う。
特別コースかぁ、、、と一瞬ガッカリしたのだが、内容を聞いたら良さそうな感じだったので行ってみることにした。
30分後にと予約を入れ、出かける準備をした。
家からノンビリ歩いていくと、すぐにレストランに着いた。港に面したお店である。
若い研修生達に次々と挨拶されながら、一番奥の席に案内された。
奥の壁には水槽が組み込まれていて、中にはオマール海老やカサゴがいた。あやぴー大喜び。
インテリアは古めかしい感じだが、60年代にトリップした感じで楽しめるし、
私達はソファ席だったのだがソファが大きいのでとっても座りやすい。テーブルも広めでいい。
外から見るとかっちりしたお店のようだけど、そうではなかった。
この道三十年といった風貌のソムリエさんがやってきて、食前酒の注文を聞かれた。
栗が考えていると、ソムリエのおじさんがミネラル・ウォーターとワインリストを持ってきましょうかと
提案してくれたので、そうお願いすることにした。
テーブルの上には小さなおつまみが乗ったお皿があった。チーズのパイに、トマトのマドレーヌだと言う。
トマトのマドレーヌは甘くてビックリしたが、とてもおいしかった。
メートル・ドテルの男性からメニューの紹介があった。
メインは魚とお肉の両方なのだが、私達は両方は食べれないので、一つ選ぶことにした。
栗はお肉(仔牛)、私は魚(スズキ)。あやぴーにはトマトソースのパスタを一品でお願いした。
オーダーが済むと、またソムリエのおじさんがやってきた。
栗はハーフボトルの中から、
Domaine de Tempier BANDOL 2006というロゼワインを選んだ。
ソムリエのおじさんもそれがいいでしょうと同意してくれた。
まもなくすると、研修生の女の子がパンを持って来た。
ゴマパン、白パン、オリーブ入りのパンという三種類の中から、私はオリーブ入りのパンをもらった。
栗とあやぴーもオリーブ入りのパンにした。うん、おいしい。
しかし、テーブルの上にエシレバターが置かれたため、主役はバターになった。
久々のエシレバターに大興奮。この際、体重のことは気にせず、しっかりバターを塗って食べることにした。
おいしい~!あやぴーもバターがおいしいと言って、パンをガンガン食べていた。
つきだしが出てきた。あやぴーの分もちゃんと出してくれたのがうれしい。
プロヴァンス風の魚のペースト、ガスパチョ、そしてオマール海老の春巻きという三種類のつきだしが、
それぞれ一つずつ小さな容器に入っていた。可愛い。
まずはガスパチョを小さなスプーンで飲んでみた。おいしい~!
アンダルシアを旅行した時のことを思い出し、懐かしい気分になった。
栗が魚のペーストがおいしいと言うので一口食べてみる。うん、うまい!
最後に取っておいたオマール海老の春巻きも至福の味。あやぴーは一番に完食した。
栗は甲殻類アレルギーなので、栗のオマール海老の春巻きと、私が一口味見をしただけの魚のペーストを乗せた
トーストとをトレードした。なんか得しちゃった気分♪

La fleur de courgette farcie d une mousseline de poisson, crème et caviar
続いて前菜がやってきた。ズッキーニの花に魚のムースを詰めたもの。クリームとキャビア乗せ。
おいしそう~!それに、ズッキーニの花に添えられたサラダ菜が何気にお花のような形になっているのもいい。
よく見たらシブレットでまとめられていた。こういう細かい配慮ってとてもうれしい。
ナイフを入れて一口食べてみる。おおおお~っ!んんんん~っ!思わず唸ってしまった。
ズッキーニの花にはお肉やお米、野菜を詰め物にすることはあるけれど、魚と言うのは珍しい。
しかもこの魚のムースがとても繊細なお味。クリームやキャビアも意外によく合う。ソースも絶品。
栗と私は目を合わせてお互いの驚きを確かめ合った。
ニースの名物食材をこんな風に調理しちゃうなんてすごいなぁ。しかも、ただ単に材料がいいとか、
組み合わせがいいというだけでなく、このお皿の裏には調理人さん達の細かい作業と多大なる努力がある。
だけど、これみよがしではなくて、「おいしいですよ、どうぞ。」と自然に振舞われたような感じ。
ソースを残すのがもったいなくて、パンでぬぐってお皿をきれいにしてしまった。栗も。私も。(笑)
あやぴーにはトマトソースのパスタを頼んだのだが、こちらも盛り合わせがきれいで、一口食べさせてもらったら
トマトが主役で好感の持てる味だった。シンプルなのが一番!
淡いピンク色をしたロゼワインも美しいワインだった。色にも味にも品があり、香りも良い。
いい感じに食事がスタートし、早くも幸せ気分でいっぱい。
お店の人のサービスも、店内の雰囲気も、気取りがなくて心地よいのだ。

Le filet de loup rôti, tomates pressées aux aubergines confites, sauce Thai
メインはスズキのロースト。ニース近郊で取れた魚だと言う。
釣れたばかりの魚の味は全然違う。おいしさがギュッと詰まっていた。焼き加減もちょうど良い。
ソースはタイ風。香草とゴマがアクセントになったサッパリとしたものだったが、不思議とスズキによく合う。
どんどん食べれてしまう味だった。つけ合わせのナスとトマトのミルフィーユもメチャクチャおいしくて涙だったし、
ちょこっと添えられていたアルファルファとサラダ菜も彩りが良く、口をさっぱりさせてくれる。
オーダーの時、メニューに「タイ風ソース」と書かれていたのを見て、どうかなぁ、、、と思っていたのだが、
これはアジア料理ではない。アジアのテイストを取り入れたフランス料理だと思う。だけど、付け合せは南仏料理。
こちらも抜群。。。私は何事にも基本が大事だと思っている。基本があるから応用が生まれる。ここの料理も同じ。
南仏、フランス料理の基本がしっかりしているから、バリエーションが映える。食べ終えてしまうのが寂しく感じられるほど
素敵なお料理だった。
一方、栗がオーダーした仔牛もかなり良かったらしい。一口お肉をもらったところ、柔らかくてビックリした。
肉汁にセージでアクセントをつけたソースもくどくなくて良かったし、つけ合わせがジロルというキノコに
野菜のラザニアと言うのも好みで、実は魚にするか肉にするか、かなり迷った。
そんな中、栗が言った。「それにしても、母の日のメニューに「仔牛」って言うのは、なかなか良いセンスをしてるよね。
だってさ、母牛から子供を引き離して、殺しちゃうんだもんね。」
思わずギョッとした。そしてちょっと笑ってしまった。ブラックユーモアが大好きな人な栗らしい発言だったので。。。
お腹いっぱいではち切れそうだったが、チーズがやってきた。
シェーヴル(山羊)がちょっとずつだったので、何とか食べれそうだし、食べてみたい!(笑)
フレッシュチーズと、demi-sec(ハーフ・ドライ)のPelardon、そしてsec(ドライ)の
Picodon。
三種類全部ヤギである。フレッシュから食べ始め、ピコドンで終える。
長いこと山羊のチーズが食べられなかった私だが、今では大好物。今日のチーズも全ておいしく頂いた♪
デザートがやってきた。チョコレートのコーティングされたケーキ。おいしそう~!
うなぎパイのような味のスティックをボリボリ食べてから、フォークとスプーンでケーキを切ってみた。
中はチョコレートとバニラのムースが二層になっていた。一番下はツブツブ入りのクッキー生地。おいしい~!

Le pétillant de chocolat vanille
栗が研修生の女の子に「何でpétillant(弾ける)」っていうネーミングなんですか?」と聞いた。
すると、女の子は「すみません。わからないのでパティシエに聞いてきます。」と足早に去っていった。
戻ってきた女の子が「一番下の生地に秘密があるようです。」と言ったのと同時に、「うわっ、パチパチする!」と
栗が叫んだ。「パチパチ?!ミネラル・ウォーターのガスと間違えてるんじゃないの?」と私が言って、
研修生の女の子と笑ったのだが、その私の口もパチパチし始めた。なに?なに?なんですか?このパチパチは???
栗が子供の頃、口の中で弾けるキャンディーがあったそうで、それじゃないかと言い始めた。
しかし、研修生の女の子は若いのでそういうキャンディーは知らないらしい。
「そうですか。ちょっとパティシエに聞いてきます。」と真剣な顔でキッチンに消えていった。そして、
「やっぱりそうでしたよ~!パチパチ弾けるキャンディを入れてるそうです!」と笑顔で戻ってきた。
栗と私は顔を見合わせて笑った。このお店の人のセンス、かなり好きかも!!!
おいしいチョコレート&バニラムースのケーキはあっという間になくなってしまった。悲しい。(涙)
しかし、もう一つの悲しみが私を待っていた。
「TOMO、もしかしたらお金が足りないかもしれないから、コーヒーは諦めてくれ。」と栗が言ったのだ。
えええええ~っ!
普段だったらカード払いなのでこんなことはないのだが、今日はこの後ビーチに行くつもりなので、
栗は現金しか持ってきていなかった。私に至ってはお財布すら持ってこなかった。
家を出る前に「200ユーロで足りるかなぁ?」と聞いて来た栗に、あまり考えずに「いいんじゃない?」と
答えてしまった自分を恨む。昔から栗は詰めが足りないって知っているのに、お財布を持ってこなかった自分を恨む。
あと15ユーロあったら、安心してコーヒーが飲めたのに!!!(涙)
しかし、今更どうこう言っても仕方ないので、コーヒーは諦めることにした。こんなの初めて。。。(涙)
そんな私の悲しい心を知ってか知らずか、研修生の女の子がプチ・フール(お菓子の盛り合わせ)を持ってきてくれた。
苺の砂糖漬けの淡い優しい味に励まされた。ありがとう。。。(涙)
最後のハプニングは別として、とっても素敵なランチだった。新しいお店をトライして本当に良かった!
レストランの好みがうるさい栗も、「港にあるレストランは観光客相手と思っていたけど、考え方が変わった。」と
言って、喜んでいた。平日のランチはかなりお得らしいので今度トライしてみたい。お友達にも薦めなきゃ!
大満足でお店を出て、いつものレゼルヴのビーチで泳いだ。
今日は久しぶりに夏のような気候で、海水浴と日光浴の両方を楽しむことができた。
おいしい食事、青い海、私達のホームグラウンドであるニース東部。
結婚してから12年が経った。その間、変わったことがたくさんあるけれど、好きなものは変わらない。
これからも家族三人、健康で幸せに楽しく暮らせますように。
PS・・・
家に帰ってきてから、栗が「ゴメン。」と言って、コーヒーを煎れてくれた。
レストランでは一瞬腹が立ったけど、時間が経てばハプニングも楽しい思い出に変わっていくものなので、
今はもう怒っていない。それどころか、笑っている。全く栗ってば!!!
美食をテーマにしたコートダジュール旅行には・・
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