美食記

美食記

Joel Robuchon Monte-Carlo

(ジョエル・ロブション・モンテカルロ)

4, Avenue de la Madone
Hôtel Métropole
Monte-Carlo 98000 Monaco
Tel +377 93 15 15 15 Fax +377 93 25 24 44
http://www.metropole.com/

モナコのモンテカルロ地区にあるGrand Casino(グラン・カジノ)を背にして
右側に上ったところすぐ。
ショッピングセンター「Métropole」の手前に
Hôtel Métropole(ホテル・メトロポール)に入るための門があります。
レストランは建物を入って右側のつきあたり。
わからない場合でもホテルの人がすぐに対応してくれるので安心です。



Joel Robuchon Monte-Carlo (ジョエル・ロブション・モンテカルロ) 
2007年4月11日 モナコ



本当は二日間の会議に参加することになっていて、この日はニースにいない予定だった。
しかし、会議の初日が娘の山間学校への出発日と重なってしまった。
車酔いのため、大型バスには乗れない娘を山まで連れて行かないといけない。
もちろん、夫が休みを取ることは最初から決まっていたことなので
私が行かなくても問題はないのだが、だからこそ悩んでしまう。
「でも、もしかしたらこれが最初で最後の山間学校かもしれないよ。付き添わなくて後悔しない?」と
夫から聞かれて心が決まった。申し訳ないと思ったが、やっぱり会議には参加しないことにした。

そうは言っても後ろ髪引かれる想いがなかったわけではない。
すこし気を落としていた私に、「次の日も休みを取るから、二人でおいしいものを食べに行こう。」と
夫が提案してくれた。それはうれしい。前から行きたいと思っていてなかなか行けずにいたルイⅩⅤにしようかと
話していたのだが、あいにく水曜日はお休みとのこと。他の気になるお店を調べてみたが、どこも水曜日定休。
急いで代わりのお店を見つけなければならなくなった。

ふと、ジョエル・ロブションはどうだろうと思った。
オープンしたての頃、高い割には大したことがないという話を聞いて以来、全く興味を持たずにいたのだが、
あっという間にミシュランの星を取り、それが二つに増えたばかり。二つ星レストランなら悪くないはず。
ちょっと調べると、お昼にはお得なコースもあることがわかった。
夫はジョエル・ロブションの料理番組のファンなので、大賛成してくれた。

車の運転が嫌いな夫のために、電車でモナコまで行った。青い海を見ながら遠足気分。
駅からモンテカルロ地区まではあっという間で、ホテル・メトロポールもすぐに見つかった。
建物の中に入ると係員の人が来て、レストランまで案内してくれた。予約名を告げ、席に通してもらう。
新米のような若いソムリエがやってきて、ミネラル・ウォーターを何にするか聞かれたので、
CHATELDON(シャテルドン)を注文した。

まもなくすると、クレープの皮を焼いたようなパリパリしたものと、
オリーブオイルとバターが盛られた黒いお皿がやってきた。
これはlangue de sorcière(ラング・ドゥ・ソーシエール=魔女の舌)と呼ばれるサルデーニャのパンだとか。
パンと言うよりはグリッシーニのようにつまむ感じのもの。
オリーブオイルがギトギトしていたが、ハーブの香りが良い。おもしろいね~と言いながらつまんだ。

まだメニューを読んでいる最中だったが、アミューズがやってきた。
フォアグラを赤ポルト酒で煮詰めてピューレにしたものに、パルメザンチーズのエマルション。





一口食べた栗が目を大きくさせた。
「TOMO、これすごいよ。」と言うので、私もスプーンですくって口の中に入れた。おおおお~っ!
ケーキのような見かけを覆すような濃いお味。全然フォアグラっぽくないのに味はフォアグラだし、
赤ポルト酒の甘さとパルメザンチーズの塩っ気は驚くけどなかなか良く合っている。おまけに食感が軽い。
ムースのようでいて、きちんと全ての味がする。すごい~!

好みの味付けだったのでホッとした。食べるものも無事決まった。
お昼のコースにはグラスワインが二杯ついてくるので、新米のソムリエ君がすぐに戻ってきた。
出されるワインは決まっているので、赤と白のチョイスしかない。私は前菜がマグロ、メインは真鱈だったので
白にしようかと思ったけど、赤ワインの方が好きなので赤にしてもらった。
夫は前菜がcaneton(辞書を見ると「アヒル、鴨の子」とあったが、多分子鴨だと思う。)だったので、
彼も赤ワイン。Château Viranel 2005 (Saint-Chinian)。Languedoc-Roussillonのワインだそうだ。
(ちなみに、新米ソムリエ君は声が小さい上にモソモソ話す人だったので、栗でさえも聞き取りに苦労していた。苦笑)

ワインを一口飲んだ栗が、「あ、これならお魚でも大丈夫だよ。」と言った。私も飲んでみると、うん、好みの味。
私はラングドック・ルシヨンの赤ワインが好きなのでちょうど良かった。あっという間に前菜がやってきた。





私が頼んだのはマグロ。斬新な盛り付けに感激。マグロはカルパッチョのように薄切りにされていて、
オリーブオイルとドライトマトでマリネされている。シブレットの細切りがきれい。
早速食べてみると、んんん~っ、至極の味!
マグロの質が良いのはもちろんのこと、ドライトマトとこんなに合うなんて思わなかった。
しかも、細かく切ってあるのがいい。一口切って栗に渡すと、栗もビックリしていた。
「なんかさ、ドライトマトがマグロの新鮮な味を引き出してるって感じだよね。」というコメント。
私も大きく頷いた。ホント、ホント、そんな感じ。

栗が頼んだ子鴨とアンディーヴのサラダもとてもおいしそうだった。
立体的な盛り付けがとてもきれいで、くずすのが悪いような気がすると栗が言った。
子鴨の肉はとても柔らかく、ジューシー。一口もらった私もウットリだった。

パンはワゴンサービス。テーブル担当の男の子がいつも良いタイミングでやってきてくれた。
ミニバゲットを食べ終わったので、ライ麦パンを一切れに、ケシの実がついた丸パンを頂いた。
もちろんどれも文句のないお味。

続いてメインがやってきた。私は真鱈と野菜、栗が頼んだのはグリーンペッパーソースの牛肉。
テーブル担当の男の子が栗のお肉にソースをかけ、「ジョエル・ロブションのピューレです。」と言って、
白いものをスプーンですくってお皿に盛り付けた。栗が「えっ、かの有名なピューレですか!?」と聞き返すと、
男の子は「そうです。」と頷いた。そして、もう一つの付け合せである小さなジャガイモのローストも
栗のお皿によそっていた。

「ジョエル・ロブションのピューレは有名なんだぞ。いいだろ、いいだろ。」と子供のようにあてつける栗。
「ふん!」と鼻息を立てると、「マダムもお召し上がり下さい。」と男の子が言って、私の横に置かれていた
白い小皿にピューレをよそってくれた。「キャ~♪」と喜んだ後、私はさらに鼻息を荒げ、「紳士って言うのは、
彼みたいな人のことを言うのよ。あなたも少しここで修行させてもらった方がいいんじゃない?」と言った。
栗は笑い、担当の男の子も笑った。ジャガイモのローストも勧めてくれたのだが、おなかいっぱいになりそうだったので、
味見用に一つだけ頂くことにした。





私は昨日も外食だったので、胃のことを考えて、真鱈と野菜を頼んだのだが、これは大正解だった。
真鱈の焼き加減が絶妙でおいしかったし、真鱈を囲む春野菜(アスパラガス、かぶ、ニンジン、ズッキーニ)も
優しい味でうれしかった。レーズンやナッツが入っていることに驚いたのだが、食べ進めていくうちに、食感的にも
味的にもこれらが良いアクセントになっていることがわかった。ソースも微妙にスパイスが効いている。
こういう細かい配慮がなかったら、きっとぼやけた味になっていただろう。さすが~!

そして、ジョエル・ロブションのピューレの方はと言えば。。。。
絶品だった。こんなにおいしいピューレを食べたのは生まれて初めてかもしれない。。。(涙)

栗がジョエル・ロブションとじゃがいものピューレにまつわる話を教えてくれた。
ピューレと言うのはフランスでも代表的な家庭料理で、そんな料理を高級美食店で初めて出したのが
ジョエル・ロブションなのだとか。当時は新聞の一面に出るくらい大騒ぎにだったらしい。
栗はそのピューレを味わうことができるなんてと感激していた。
おまけに普通のピューレとは全然違う。厳選された材料と洗練されたレシピ、手間暇がかかったピューレなのだ。

あまりにもおいしいので、少しずつ大切に食べていると、テーブル係の男の子がやってきた。「ピューレのお代わりは
いかがですか?」と聞かれた。栗も私も「もちろん頂きます!」と言って、お皿によそってもらった。
栗の牛肉も絶品だったそうだし、私の真鱈も野菜もおいしくて、ピューレと共に味わって食べた。

新米ソムリエ君がひっきりなしに水をつぎに来るのには閉口したが、遅れてはいけないと焦る気持ちからだったのだと思う。
グラスワインは二杯目も赤を頂いた。

しばらくすると、またピューレのお代わりがやってきた。どうしようかな~と思ったけど、これが最後と思って、
もう少しだけ頂くことにした。このピューレを断るなんて出来ない!(笑)。栗もそう言った。
「ピューレ、本当においしいですね。」と言うと、男の子はratte(ラット)というジャガイモを使っていることを
教えてくれた。もちろん、ジャガイモが良ければそれだけでOKというわけではないだろうが、このほんわりとした味は
ラットでないといけないのだろうと納得した。

あぁ、幸せ。
ここに来て良かった。
ロブションのピューレに出会えて良かった。
しばし喜びに浸る。

いよいよデザート。その前に、テーブル担当の男の子がコーヒーをどうするかと聞いてくれた。
デザートと一緒に飲むか、それともデザートの後にするか。フランスではコーヒーが出てくるのは、大体デザートの後
なのだが、時にはデザートと一緒に飲みたいこともある。うれしい心遣いだった。
でも、私はデザートに集中したかったので、食後にお願いした。栗も合わせてくれた。

デザートは今日のデザートか、ワゴンサービスでタルトをもらうかのどちらかからチョイスできる。
今日のデザートにはあまり心がひかれなかったので、タルトを頂くことにした。
ワゴンの上に乗せられたタルトはどれもとてもおいしそうで、全部食べたい気もしたが、さすがにそれは無理。
ガナッシュチョコレートのケーキ、マントンのレモンを使ったレモンタルトに、グリオット(さくらんぼ)入りの
チーズケーキと三つもらうことにした。栗は、マントンのレモンタルトに、グリオットのチーズケーキ、そして
苺とルバーブのタルト。

いや~、ケーキも絶品!
こんなにおいしいチーズケーキを食べるのは久しぶり。ふわふわながらコクがあって食べ応えのある味だった。
レモンタルトはレモンの香りが高く、酸味と甘さが絶妙。ガナッシュのチョコレートケーキも驚くぐらいあっさり
食べれた。全然重くないのだ。シンプルなものをこれだけおいしく作れるというのはやっぱりすごい。脱帽!

食後のエスプレッソを飲みながら、食事の余韻を楽しむ。
栗も私も口を開けば「おいしかったね~。」「良かったね~。」とそればかり。
レストランを出た後でも、「おいしかったね~。」「良かったね~。」は延々と続いた。
7年8ヶ月ぶりの夫婦二人の時間は、このお店のおかげで、ジョエル・ロブションのピューレのおかげで(笑)、
忘れ難い一日になった。好きなお店がまた一つできた。夫に感謝!





美食をテーマにしたコートダジュール旅行には・・

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