部屋の窓からの景色

CASTERINO(カステリーノ)2004年2月27日(晴れ)

あやぴーに車酔い対策のシロップを飲ませ、予定通り10時ごろに家を出た。高速は平日にもかかわらず車が多い。まだパリも南仏もバカンス中だからだろうか。イタリア国境を越えて最初の街VENTIMIGLIA(ヴェンチミリア)で高速をおり、後はひたすら国道を北上というプランなのだが、VENTIMIGLIAの出口が大混雑。普段3分しかかからないところを30分以上待つはめになってしまった。今日は金曜日。大きな市場がある日だということをすっかり忘れていた私達。バカンス中の市場はそれはそれは混むものなのだ。料金所の後もVENTIMIGLIAに行く道は相変わらず渋滞していたが、私達は山に行くので逆方向。いきなり道がガラガラになってようやくホッとした。

目的地のCASTERINO(カステリーノ)まで、まずはST. DALMAS DE TENDE(サン・ダルマス・ドゥ・タンドゥ)を目指す。この辺りは元々イタリア領だったのを戦争のどさくさに紛れてフランスがこっそり盗んだと言われている場所。高速を過ぎてしばらくはイタリア領を走り、そしてある時突然「FRANCE」という看板が見えてフランス国境になる。もちろん、イタリアを通らずに行く方法もあるが、我が家ではあやぴーの車酔いが激しいので、事前に地図を見て、なるべくまっすぐな道を選ぶようにしている。そのため、面倒くさそうではあるが、一旦イタリアに出る方法を取ったのだ。ここ数年で山沿いの道にどんどんトンネルが開通しているおかげで、VENTIMIGLIAからの道も比較的まっすぐ。ST. DALMAS DE TENDEまであっという間でびっくりした。

しかしホテルがあるのはCASTERINOという村。ST. DALMASから14キロのところにある。山道を登って行くとカーブが続き、あやぴーが「おなかが痛い。」と言い始めた。戻しそうな時には「のどが痛い。」と言うし、顔もそれほど青くないので大丈夫そうではあったが、念のため時々車を止まらせつつ、坂道をゆっくり上がっていった。一瞬CASTERINOを宿泊地に選んだことを後悔したが、もう遅い。周りの景色を説明したり、歌を歌ったりして、なるべくあやぴーの気が紛れるように努めた。

標高750mのST. DALMASには雪がなかったが、山道を上って行くうち、だんだんと周り一面が雪だらけになった。しかも見覚えのある茶色い雪がある。アフリカからの砂が混ざった茶色い雨がニースで降った日、山では茶色い雪が降ったと聞いたことを思い出した。まだ残ってたんだ!それに、雪だけじゃない、つららもある。寒いところに来たんだな~とワクワクしてきた。

くねくね道がようやく終わり、あとは比較的まっすぐな道を上り続けると、標高1550mに位置するCASTERINOに到着した。ほぼ予定時間通りの12時15分に到着。VENTIMIGLIAでの渋滞を考えると悪くない。CASTERINOは小さな村なので、すぐに予約していたホテルが見つかった。この辺りのホテルは何故か改装中でお休みのところが多く、トイレとお風呂がある部屋がまだ空いているというのは、この1つ星のホテルだけだった。しかもお風呂ではなくてシャワー。多少不安を感じながらも、1泊だからいいかと決めた。どうしても雪山に行きたかったから。

栗が一人で木造の建物の中に入って行った。早くも鍵がもらえたらしいので、まずは部屋に荷物を置き、そしてホテルのレストランで昼食を取ることにした。部屋はもちろんシンプルだったが思っていたより悪くなく、テレビもついていた。暖房がガンガンに入っていたので上着を脱いでレストランに向かった。

あやぴーにはお子様メニューを変形して、ハム、トマトサラダ、じゃがいものソテーを一皿に盛ってもらうことにした。栗はランチコース。私はアラカルトで。前菜は栗が自家製のパテとサラダ、私はベルギーチコリとくるみと生ハムのサラダ。前菜からすごいボリューム。しかもおいしい。これだけで十分な感じすらする。メインは栗がステーキのペッパーソース。付け合せはじゃがいものソテーに野菜の蒸し煮。私はタルティフレットという山料理を頼んだ。じゃがいもと玉ねぎとベーコンのホワイトソースグラタンの上に、ルブローションというチーズがドロリと上にかかったもの。とてもおいしかったのだが、前菜で既におなかいっぱいだったので、半分ほど残してしまった。残念。あやぴーも私もデザートはパス。栗のコースにはデザートが付いているが、彼もおなかいっぱいらしい。色々ある中から、はちみつとジンジャー味のプリンを選んだ。一口もらったらなかなか甘さ控え目であっさりしている。あやぴーが気に入って、ほとんど一人で平らげてしまったようだ。

午後は雪山を散歩。しかし、ホテルの人に教えてもらった道は雪が多すぎた(涙)。50cmほど積もっているので、靴がズボズボ雪の中に入ってしまい、あやぴー大泣き。私もこの状態で散歩を続けるのは嫌。一旦ホテルに戻り、あやぴーと私はスキーウェアと雪用のブーツに着替えてから、再出発した。(あやぴーは雪用のブーツが小さくなってしまったのでビニール長靴!笑)。違う方向をぶらぶら歩いていたら、偶然散策コースを発見したので、その黄色い目印に従って山道を上ることにした。

青い空、白い雪、モミの木が風に吹かれてサワサワとたてる音、澄み切った空気、、、美しい自然に囲まれていると、日常で疲れていた体が、そしてくすんでいた心が、静かに洗われていくかのようだ。やっぱり来て良かった。

あやぴーは雪の塊を拾ったり、「すべり台」と言いながら斜面を滑ってみたり、「のどが渇いたからお水ちょうだい。」とぐずってみたり、おとなしくしていることは一秒たりともなかったが、それでも私達のペースで山道を上ってくれた。時計を見ると4時15分。1時間半歩いたことになる。もう少し先に行きたい気もしたが、この先を進むには、一歩踏み外すと下に落ちてしまいそうな場所を通らなければならない。あやぴーを連れてではまず無理そう。私が一人で挑戦してみたが、ちょっと恐かったので、そこまでして進まなくても良いかと思い、引き返すことにした。

Uターンをして元来た道を歩く。帰りはひたすら下るだけなので、驚くほど簡単に到着した。川べりに下りて水を触ってみたら、しびれるほど冷たい。しかし、そんな中でもマスが生息している。あやぴーは魚を見つけて喜んだ。

部屋に戻って休憩。あやぴーはテレビを見て、栗と私はホテルの本棚から持ってきた雑誌を読んだ。栗がいつのまにか寝てしまったので、あやぴーと私は先に二人でシャワーを浴びることにした。

夕飯の時間になったのでレストランに向かう。宿泊者の夕飯は既にコースが決まっているらしい。前菜は野菜のスープ、メインは仔牛のポピエット、つけあわせはじゃがいものソテーに野菜の蒸し煮。寒い夜に野菜たっぷりのスープがうれしい。ポピエットはベーコンで巻いたハンバーグのようで、とてもおいしく、あやぴーもたくさん食べていた。昼のようにどっさりした料理だったらどうしようかと密かに心配していたのだが、重くないので完食。家庭料理のような素朴な味なのも良かった。デザートはミカンとサバイヨンのグラタン。グラタンと聞いて、温かいものを想像していたのだが、口に入れたら冷たくてびっくり。甘いけどさわやか。初めて見たデザートでうれしかった。「部屋に戻りたい。」とぐずるあやぴーをなだめながら、食後に私はカフェイン抜きのコーヒーをもらい、栗はハーブ入りの食後酒を飲んだ。

部屋に戻ったらバタンキュー。あやぴーは最初簡易ベッドで一人で寝ると張り切っていたのだが、いざベッドに入ってみると、急に寂しくなってしまったらしく、「ママと寝たい!」と大泣き。結局、旅行中の定番、親子三人川の字で眠ることになった。


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